セラピストとの体験談 ゆきちゃん(1)
さえない中年の僕ですが、コミュニケーションの質を変えたことで多くのセラピストを抱くことができました。
そのごく一部を紹介していきたいと思います。
今回は、まず「ゆきちゃん」との体験談。
この子とのやりとりで、感情コミュニケーションの大切さを学びました。その中でも特に「話を聞いてあげること」ってすごい効果があるんだなあと、自分でも驚いた記憶があります。エステの個室でこんなこともできるんだ、という感動の体験です。
ゆきちゃんは、出張時に訪れた九州地方のとあるエステで出会った22歳くらいのセラピスト。ショートカットが似合う小柄で細身の可愛い子です。
はじめて出会ったとき、なんて透き通った瞳を持っているんだろうと驚きました。と同時に、物憂げな表情がとても気になりました。なにか人に言えない悩みや、寂しさを抱えているように感じられたのです。
そこで、少しでも楽しい時間を一緒に過ごせたらと思い、
「今日は大事な会議でいろいろあってさ。なんか人恋しい気がするので(笑)、ちょっと他愛もない雑談につきあってもらってもいいかな」
とこちらからお願いしてみました。マッサージは中止し、二人でマットに仰向けに横たわり、ささやかな会話に切り替えたのです。
いろいろ話をしていく中で、
「休みの日は普段どんなことして過ごしているの」と問いかけてみました。
すると
「絵を描いているんです」との返答。
その際の声のトーンが照れを含みながらもわずかに高揚したのが感じられました。絵を描くことはきっとこの子にとってすごく大切な時間で、絵について質問してもらうのは嬉しいことに違いないと確信しました。
「そうなんだ♪」「それはいいね♪」
とその話に興味を持っていることを相手に示し、さらに、
「もうちょっと教えて♪」
と会話の続きを促します。
すると、
「えー」
といいながらもゆきちゃんの顔には笑顔がひろがり、
「そんなに本格的じゃないんですけどー…」
とちょっと嬉しそうに話を続けてくれます。
それに対し「うん、うん♪」とこちらも楽しく話を聞いていきます。
「せっかくだから描いたものみたいな♪」
「えー、恥ずかしいー。でも携帯に保存してるかも。ちょっとだけですよ」
「素敵じゃない!どんなこと表現しようとして描いたの?」
「えっとねー」
こんな感じで会話が盛り上がっていきます。
と同時に、絵の話をしている時の彼女の笑顔と、出会ったばかりのやや愁いを秘めた表情のギャップが気になってきました。絵に対してだけ心を開くことができるのかな?それはなんでだろう?との疑問が湧いてきたのです。
(次回に続く)